「実は昨日はルータ故障でしばらくこのサイトにもアクセス不能であった」
「うん」
「それ以前に、昨日は問題と連絡が山のように来てアップアップしていた。最後に来た大物がルータ故障であったわけだ。まるで運がない。というか問題は団体でやってくる」
「それは災難だったね」
「ルータはかなり長期間使い込んだもので、壊れてもやむを得ない状況だったと思う。何しろ24時間運転が基本だからね」
「うん」
「それに、正月が明けてみんなが動き出す時期だから、用事がいくつも重なるのはある意味でやむを得ない」
「確かにそう聞くと必然に思えるけど」
「個々の問題はけして意外ではなかった、ということだ」
「うん。全部合わせるとひーひー言うというだけだね」
「でも、予測不能で意外なこともあったのだ」
「なに?」
「木村拓哉ファン達にURLが紹介され、大挙読みに来て、何人もの方がメッセージをくれたのだ」
「えーっ?」
「おいらの書いた文章は、世のため人のためヤマトのため自分のために書かれたものであり、木村拓哉ファンに読ませるためという意識は全くなかった」
「そうだね。ただの映画好きのヤマト馬鹿だし」
「しかし、これは本当に面白いことだ」
「なぜ?」
「SPACE BATTLESHIP ヤマトが無ければ出会うこともなかった別人種が、この映画1つで出会えたんだ。これが奇跡でなくて何だ」
「うーむ」
「アニメでも、キャラのXXさんとメカのXXさんの絵が1本の映画で共演ということはある。そこで、相乗効果が起きることもある」
「うん」
「あるいはXXさんの原作を、あのXXさんが手がけるというパターンもある」
「そうだね」
「でもさ。絵じゃなくて現実の俳優の話になると、もっと距離感が小さくなるのだよ」
「もっと生々しくなるってことだね」
「そうだ。問題は、描かれた絵じゃない。問題は、生きている人間だ」
「君も赤坂サカスで生木村拓哉を見たんだよね」
「ああ。目の前を通ったよ。1人の生身の人間に見えた。当たり前だがな」
「それに、SPACE BATTLESHIP ヤマトの映画を何回も見るということは、実質的に木村拓哉さんの顔を見に行くようなものだろ?」
「そうさ。見ているものは、結局同じなんだ。思い入れや過去は同じではないが、今見ているものは同じなんだ」
「それは面白いね」
「そうさ。だから面白いんだ。セグメント分けされて細分化されたマニア世界なんて面白くもないだろう。特定対象の人間だけに強くアピールするようにする作品なんて面白みがない。始まりから結末まで逸脱ができなくなってしまうからだ」
「そうか」
「だからさ。男性向けと女性向けがはっきり分かれたオタク世界よりも、それが未分化の時代のタイトルであるヤマトを多種多様な人が見ることで、新しい価値や出会いや感動が生まれるというものだ」
「そうか」
「これは男女に限られない。たとえば、SPACE BATTLESHIP ヤマトを見に来た父子は、それぞれの印象を得て帰っていたようだ。そういう客をちらりと見たことがある」
「その関係は、島の親子に投影できるね」
「だから、SPACE BATTLESHIP ヤマトの乗組員構成はあまり綺麗には割り切れない。全員が古代の知り合いというわけではないし、仕事上最も近い南部はプライベートでほとんど付きあいがないみたいだ」
「そうだね」
「あるいは、佐々木のように背景ではしゃいでいるだけの登場人物もいる」
「多種多様だね」
「でも、だから面白い。当初、逮捕する/される関係だった斎藤と仲良く酒を飲む機会が来たりする」
「きついな、とかいいながらビールおごったりね」
「空間騎兵隊とパイロットで2つに分かれているように見えるが結局盛り上がって1つになる」
「本来交わるはずがない人たちが交わって生まれる楽しさってことだね」
「そこに新しい価値が生まれる。それこそが、旅をすることの意味というものだ」
「幸せとは幸せを探す旅そのものってことだね」
「妹たちよ、ってことにしておこう」
「年下の女性とは限らないぞ」
「愛しい女性=妹ってことにしておこう」
オマケ §
「この本来交わるはずのない人たちが交わるというのは、むしろ映画の本質的な特徴だと思う」
「というと?」
「映画はスクリーンにたくさんの客が入って、1つの真っ暗な部屋で同じ映画を見るんだ。見て語り合ったりはしないが、それでも不特定多数の人が何かの空気を共有できるわけだ」
「そうか」
「武士の家計簿を見に行くと若い人まで地味だなとか、ダレンシャンとか見に行くとうるさそうなタイプのマニアがけっこういるなとか、シャッターアイランドなら終わって振り返ると『なんじゃこりゃ』と愕然とした空気を感じられるとか」
「それも、相互に縁のない人たちが一緒になって作り出すわけだね」
「だから、それを引き起こす触媒こそが映画スターの役割であり、木村拓哉さんはその役目を立派に果たしたことになるんだよ」
「そうであるはずだ、という予測ではないわけだね」
「そうさ。既にそれは起こった事実なんだ」
オマケ・変な顔 §
「最初に波動砲を撃つとき、沖田に失敗したら死ぬだけだと言われて古代が一瞬、変な顔をする」
「うん」
「変な顔というのは簡単だが、それで良いのだろうか」
「どういうこと?」
「ここはどんな顔をしたら良いのだろうね」
「笑えばいいと思うよ」
「なんか違うエヴァが混じった」
「でもそんなの分からないよ」
「ここで、実はいきなり古代の肩に地球の命運がのしかかってしまうのだ」
「そうか。ヤマトだけじゃないものね」
「しかも、沖田や真田は命令するだけだし、徳川は淡々と準備するだけだし、島は操縦を渡して後は期待しているだけだし、古代も凄く大変。そんなとき、どういう顔をしたらいいのだろうね」
「まあ常識的に平然とはしていられないよね」
「でも古代はマニュアル通りに淡々と撃つ必要がある」
「それでも抑えきれないものがあるだろう」
「そうさ。それが一瞬の変な顔として出ているのだろう」
「そうか、それが義務を淡々とこなそうとした人間の人間らしい演技ということか」
「それが木村拓哉さんの解釈であり、演技ということだろう」
「あるいは、山崎貴監督が望む人間味のある演技かもしれないね」
「どーんとオレに付いてこい、と日本1の無責任イケメンとして平然と波動砲を撃つだけではつまらん」
「変な顔はあった方が正解ってことなんだね」